No.9 防災対策について

【質問】
 将来の発生が懸念される首都直下型地震に対する区民の不安が高まっております。内閣府の中央防災会議は、首都直下型地震が発生した場合には東京での経済被害は約112兆円、1万3,000人もの犠牲者が出ると想定しております。よって、防災に関しては地震による被害を最小限に抑える減災という観点が大変重要であると考えます。

 第1点目に、民間住宅の耐震強化について伺います。阪神・淡路大震災の犠牲者の約9割の方が建物倒壊による圧死であったことから考えると、民間住宅の耐震補強は減災に直結し、区民皆様の生命を守るうえで重要な施策であります。
 国土交通省では平成17年度より、住宅と非住宅、耐震診断と改修で分かれていた4つの補助事業を1つにまとめ、地方公共団体が利用しやすい制度に改めました。また、地域住宅交付金により、地方公共団体が自主性と創意工夫に基づき実施する住宅の耐震改修等の支援事業に対する助成を行うことになりました。練馬区としては、この地域住宅交付金の助成をどのように検討、研究されているのかお示しください。また、練馬区の防災を進めていくうえで、この支援事業を積極的に活用すべきであります。ご所見をお伺いいたします。

 第2点目に、災害要援護者対策について伺います。災害要援護者の安否確認や、避難誘導に欠かせない援護者の情報共有についてであります。実際、災害要援護者を避難、誘導させるためには場所の情報を的確に把握し、援護者の救援に向かわせることが大きなかぎとなります。現実的には、災害要援護者の情報公開がプライバシー問題の壁に阻まれて共有できないといった課題があり、そのために避難誘導が遅れるといった問題が発生してまいります。
 この問題への対応策としては、1つ目に、災害要援護者の情報を非常時だけ公表することを前提に金庫にしまっておく金庫方式で、基本的に本区はこの方式をとっていると思います。2つ目として、要援護者自らが名乗り出る手挙げ方式で、中野区、新宿区などが既に災害要援護者登録制度を実施しており、この情報をもとに要援護者マップをつくる自治体もあります。しかし、プライバシーの問題もあり、実際に手を挙げる人は極めて少ない状況であります。3つ目に、京都市などで実施されている、地域の人が情報を持ち寄ってつくる手づくり方式であります。手間と時間はかかりますが、自主防災組織などが地域の中を歩き回って情報を集め、台帳やマップにするこの手づくり方式が、防災福祉コミュニティの形成や災害要援護者の補足率を高める意味では有効であると考えます。練馬区では、災害要援護者の情報共有についてはどのようにお考えなのか、お伺いいたします。

 第3点目に、災害要援護者行動マニュアルの策定について伺います。新潟県中越地震の被災地、十日町の視覚障害者の方は、被災直後、道路の損壊によって1人で避難場所に行けず、危険であったとの声がありました。練馬区では、以前にハンディのある方の防災行動マニュアルを策定しておりますが、現在の状況と合わない部分が出てきております。新たに練馬区として障害の種類や状況に応じた障害者等の防災行動マニュアルを策定し、点字やカセットテープで対象者に配布すべきであります。ご所見をお伺いいたします。

 第4点目に、ペットをお持ちの方の避難行動について伺います。新潟県中越地震では震災後、ペットをお持ちの方が周りの方に気兼ねし、避難場所を避け、自動車の中での生活を続け、ストレスにより亡くなられた方もいらしたと聞いております。また、避難拠点での動物の飼育も課題となっております。ペットをお持ちの方の災害時のマニュアルや日ごろのペットの適正飼育の重要性などが記載されたペット飼育者災害行動マニュアルを作成し、動物病院等に配置し、周知を図るべきであります。ご所見をお伺いいたします。

 第5点目に、ボランティアについて伺います。災害要援護者を支援するために、防災福祉コミュニティとして若い力が必要であります。神戸市では阪神・淡路大震災以降、中学生や小学生によるジュニアチームを結成し、毎月1回防災訓練を実施するなど全員が市民救命士の資格を取得しており、地域の防災力を高めております。また、静岡県御殿場市では、高齢者や障害者など、災害要援護者の安否確認と避難誘導を地域住民ボランティアが担当するシステムを構築し、その中には中学生や高校生も名を連ねております。練馬区でもこうした若い力をボランティアとして育成していくべきであります。

【区の答弁】平成17年第2回定例会にて
危機管理室長:
 はじめに、民間住宅の耐震強化についてであります。
 国は、平成16年度の国土交通白書の中で、住宅の耐震化率を今後10年で90%にするなど、災害に強い国づくりを目指すと発表しました。また、公共性の高い建物だけではなく、一般住宅にも自治体が耐震改修の指示、勧告ができるような耐震改修促進法の改正を今年の秋の臨時国会に提出するとも聞いております。
 こうした動向の中で、耐震関係の補助制度も、住宅・建築物の耐震診断、改修に係る補助制度として、本年4月に統合されたところであります。更には、民間住宅の耐震改修、建て替えも助成対象とする地域住宅交付金制度の創設に関する法案が本年8月の施行を目途に、今国会において議決されたところであります。
 このような状況を踏まえ、区におきましては、地域住宅交付金制度に係る国および東京都の開催する説明会に参加するほか、特別区間で情報交換を重ねるなど、研究を深めてまいります。ご提言の練馬区の防災を進めていくうえでの地域住宅交付金制度の活用につきましては、区民の皆様が安全に安心して暮らせることを第一に考えて、更に検討してまいります。
 2点目の、災害要援護者の情報共有についてであります。地震など、大災害が発生したときに必要な救援を速やかに行うため、平常時からの要援護者情報の共有・把握が望まれますが、一方で、個人情報の保護にも十分配慮しなければなりません。従って、区民の皆様が日ごろの地域活動を通じ、ともに支え合う仕組みづくり、具体的には「よりあいひろば事業」等の拡充や、地域での防災や安全・安心の取り組みの強化など、検討してまいります。また、災害時に情報システムが一時機能しなくなることを想定し、避難拠点など地域の防災拠点にあらかじめ情報を保管するなど、緊急時に可能な情報提供の検討を行ってまいります。
 3点目の、災害要援護者行動マニュアルの策定についてであります。練馬区では平成8年3月に災害弱者のための防災行動マニュアルを策定しましたが、ご指摘のとおり、情報の収集・発信など、現況と合わない部分もあることから、配布方法もあわせて見直しを図ってまいります。
 次に、4点目のペットをお持ちの方の避難行動についてであります。区では、犬を飼われている方用に愛犬手帳を作成し、災害時の食料や水の用意などの心がけを周知するほか、ペット用非常食を確保しております。ご提案のペット飼育者災害行動マニュアルにつきましては、今後、練馬区獣医師会と協議しながら検討をしてまいります。また、関係団体と災害時の応急業務や、薬品、器材等の優先供給に関する協定を締結し、避難拠点でのペット受入れ態勢などについても検討を進めてまいります。
 最後に、子どもボランティアについてであります。災害対策は、地域社会の中で世代を超えて防災意識が継承されて、はじめて実を結ぶものであります。そのためには、まず地域や家庭、学校が連携して防災教育を進めていくことが必要です。既に平成15年度から、地震対策を中心とした学校防災訓練を学校と避難拠点運営連絡会、PTAとが協力して実施しているところであります。こうした訓練を通じて子どもたちに防災意識を高めてもらうとともに、小学校高学年や中学生には、災害時に自分たちでできることを考えてもらう機会としています。今後も地域や学校と連携しながら、ご提案の若い力を活用できる子どもボランティアの育成も視野に入れ、地域の防災力強化に向けた取り組みを進めてまいります。

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