【質問】
文部科学省が実施した通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童・生徒に関する全国実態調査から、LD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)、また、高機能自閉症により、学習や生活について特別な教育的支援を必要とする児童・生徒が、通常の学級に6%の割合で在籍している可能性が明らかにされました。さらに、本年5月に出された「これからの東京都の心身障害教育のあり方について」の中間まとめでも、心身障害学級の在籍者増と、通常の学級における特別な教育的支援が課題となり、その改善に当たっては、全都を対象とする広域的対応に加え、地域の総合的な特別支援教育のシステムを改善する必要があると報告をされております。練馬区でも、この最終報告を待ち、特別支援教育の整備・充実は今後の一大テーマとなってまいります。
そこで、まずはじめに、練馬区における心身障害学級に通級する児童・生徒数と障害の内容について、また、通常の学級におけるLD、ADHD等の在籍数、そして、その状況等をお示しいただきたいと思います。
2点目には、最近、障害児を持つ区民の方々から、特別支援教育の実施のために、今までの心身障害学級が廃止になるのではないかとの声を聞く機会がふえてまいりました。練馬区では、心身障害学級における障害児教育を、「練馬方式」と呼ばれる独自の指導方法を用いて、その有効性を発揮してまいりました。特別支援教育の実施に当たり、心身障害教育をどのように取り組もうとしておられるのか。
3点目として、知的障害学級の配置についてお伺いいたします。
明年4月には豊玉第二小学校に知的障害者学級が開設される予定となっており、障害児を持つ区民の方々から喜びの声が寄せられているところであります。
知的障害、情緒障害の児童・生徒が増加している中で、心身障害学級での通学・通級の負担が課題となっております。現在、特に石泉地域にお住まいの方々から、通学の負担の大きさを耳にしているところであります。知的障害学級数の他区との比較においては、練馬区が8クラスに対し、杉並区9クラス、板橋区10クラス、世田谷区13クラスとおくれをとっております。
練馬区として、今後更に知的障害学級の空白地域における開設と配置の適正化を進めるべきだと思います。
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【区の答弁】平成15年第3回定例会にて
薗部教育長:
私から、心身障害学級についてお答えいたします。
はじめに、練馬区の心身障害学級に在籍する児童・生徒数でありますが、本年5月1日現在では、全児童数の
1.4%、458人、中学校では 1.1%の 148人となっております。内訳としましては、固定の知的障害学級に小学校
155人、中学校 122人のほか、情緒障害、難聴、言語、弱視、虚弱の学級にそれぞれ児童
303人、生徒26人が通常学級から通級をしております。なお、通常学級におけるLD、ADHD等の数については、現在、教育委員会としては把握をしておりません。
次に、これからの心身障害教育としての特別支援教育についてであります。
現行の心身障害教育は、障害の程度に応じ、固定学級や通級学級という特別な場で指導等を行うもので、ご指摘の「練馬方式」は、障害に基づく困難を改善・克服し、自立した社会生活を営むために必要な知識、技能、態度および習慣を養うことに一定の役割を果たしてきたと認識しております。本年、国や都が提起している特別支援教育は、これまでの心身障害教育の対象とされてきた子どもだけではなく、LD、ADHD等、増大かつ多様化する障害児についても、その教育ニーズに応じた適切な教育的支援を行うべきとの視点に立っており、長期的方向としてはあるべきことと考えております。
教育委員会といたしましては、この動きを視野に入れ、これまでの練馬区における心身障害教育の成果をしっかりと踏まえつつ、障害児一人ひとりにより適した、指導や必要な支援が行われますよう、新設の心障学級においては、特別支援教育の視点を取入れるなど、取り組みを進めてまいります。
次に、知的障害学級の配置であります。
ご指摘のとおり、他区に比べ、設置数が少ないこともあり、対象児童の増加への対応として、来年4月、9番目の学級を豊玉第二小学校に開設するべく、現在その準備を進めているところであります。今後、国・都の特別支援教育の動向を視野に入れ、必要に応じて、増設など所要の整備をしてまいります。いずれにいたしましても、心障教育の充実は大きな課題として認識しており、今後とも適正配置に向けて努力をしてまいります。 |
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