No.6 不登校対策について

【質問】
 不登校対策についてお伺いをいたします。
 文部科学省の調査によりますと、2003年度、年間30日以上欠席した小・中学生の不登校数は、小学生は2万4,086人、中学生は10万2,126人であります。練馬区においても小学生129人、中学生503人と、引き続き対策を強力に進めていかなければならない状況であります。

 さらに、最近の傾向として、小学生1・2年生の不登校数が増加しております。小学校低学年の学年担任は、児童に対して学校における集団としての生活のルールや、多動性の児童の指導に多くの時間を費やし、個々の要求や個性に事細かに対応することが難しくなってきております。今後、小学校1・2年生に対する細やかな対策が確実な不登校対策になると確信するものであります。
 そこで、現在、学級が荒れたときの対策としての学級経営補助員の制度を活用し、全小学校の1・2年生を対象に学級経営補助員を配置して、未然の対策を構ずべきと考えます。

 さらに、昨年度より各小学校に配置された「心のふれあい相談員」事業は、児童の悩み、不安、ストレスなどを和らげ、ゆとりを持って学校生活を送るための支援を目的とするという観点から重要な施策であります。平成17年度には全小学校に配置して、万全な不登校対策を実施すべきものと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 次に、ネリマフレンド事業について要望いたします。
 この事業は平成15年度より始まりましたが、昨年度は14家庭に派遣、今年度は7月までに10家庭に派遣されており、大きな成果が期待されております。今後、更にこの事業の周知徹底を図り、不登校対策の取り組みを強化することを強く望みます。

 次に、若年層の引きこもり対策についてお伺いいたします。
 最近、「ニート(NEET)」という言葉が注目を集めております。イギリスの労働政策から生まれた言葉で、職業につかず、学校にも行かず、働くための職業訓練も受けていない、つまり何もしない、踏み出せない若者たちのことであります。

 日本のニートの実態として、厚生労働省が9月10日、閣議に提出した2004年版「労働経済の分析」によると、全国で52万人も存在するとのことであります。なぜ踏み出せないのか、その最大の理由は「人づき合いなど社会生活をうまくやっていける自信がない」というのであります。人間関係が大きな障壁となってニートになっていることがわかりました。ジョブカフェや日本版デュアルシステムなど「意欲ある若者」を対象とした就労支援策は始まっているものの、こうしたニートや引きこもりの若者を社会参加へ、就労へと向かわせる制度が確立されておりません。

 練馬区では、小・中学生の不登校児、引きこもりの児童・生徒に対して、適応指導教室や教育相談室など、さまざまな事業を義務教育期間において展開しておりますが、中学校卒業後のニートと呼ばれる若者たちが無視できない大きな集団となっていることを考えると、中学校卒業後においても引き続き、就労支援やメンタル面でのケアなど、個人の状況に合わせサポートしていくことも必要があります。保健相談所や教育委員会、社会福祉協議会、精神科医、自立支援のNPOなどの専門家を組織化し、ネットワークで支援していくべきであります。ご所見をお伺いをいたします。

【区の答弁】平成16年第3回定例会にて
薗部教育長:
  次に、不登校対策についてであります。
 先日発表された国の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の速報値によりますと、平成15年度の不登校児童・生徒は、全国で見ると前年度に比べて減少しております。
 練馬区においても、学校の努力やカウンセラーの配置等による教育相談活動により、前年度に比べ、小学校が129人から122人、中学校では503人から434人に減少しております。しかしながら、依然として合わせて500人を超える不登校の児童・生徒がおり、喫緊の教育課題のひとつであると考えております。
 ご指摘のように、小学校低学年児童への対応に難しさが見られているところもあり、この段階からのきめ細かい指導により、児童にとって、学級が心の居場所となることが不登校の未然防止にとって重要であると考えています。
 現在、学級運営に重い課題を抱える学校に対し、学校経営補助員を配置し、一定の成果を上げております。結果として不登校の未然防止にもつながっているととらえており、今後、学校経営補助員の充実も検討してまいります。
 次に、「心のふれあい相談員」についてであります。
 今年度は配置校を12校から24校に拡充しました。その結果、不登校児童の相談室登校や、行事や給食への参加といった改善が見られております。保護者への相談活動も行っており、配置校からは児童の教室復帰という望ましい報告も得られております。更に今年度から、小学校5校に国の事業である「子どもと親の相談員」を配置しており、同様の成果を上げております。
 教育委員会といたしましては、小学校段階から広く不登校対策を進めるために、相談員の全校配置について検討を進めてまいります。
 次に、ネリマフレンド派遣事業についてであります。
 引きこもり傾向にある児童・生徒の家庭に、話し相手となるネリマフレンドを派遣することにより一定の成果が上がっており、また、保護者の悩みを和らげるなどの効果もあらわれております。今後、さまざまな広報活動により、本事業を区民に周知していきたいと考えております。
 次に、若年層の引きこもり対策についてお答えいたします。
 近年、「ニート」と呼ばれる無業の若者が増加し、社会問題化しておりますことは、私も認識しているところであります。
 教育委員会といたしましては、児童・生徒の不登校・引きこもり対策を重要課題とし、その解消に全力を傾けてまいりました。その結果、一定の成果を上げる一方で、個々の事例の中には、低年齢化、長期化する傾向も生じてきており、これが将来「ニート」と呼ばれる無業の若者になるとすれば、まことに憂慮すべきことであると考えております。
 現在、若年層の引きこもりに対しましては、保健相談所がご家族に、また教育相談室が18歳までの子どもとその保護者を対象に対応し、総合福祉事務所などとの相互協力、情報交換などを行っております。
 教育委員会といたしましては、ご提案の引きこもりに対する支援体制のネットワーク化に対し、関係部局との連携を図る中で十分に協議してまいりたいと考えております。


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