【質問】
平成17年1月21日、下石神井小学校と石神井南中学校の研究発表会が開催されました。この2校は、文部科学省の委嘱を受け、平成14、15年度には小中連携教育実践研究協力校として、また平成15、16年度には練馬区教育委員会の教育研究校に指定され、全教科を含む学校教育活動全体にわたる連携実践研究に取り組んでまいりました。当日は、全国各地からの参加があり、小中連携教育に対する関心の高さを物語っておりました。21世紀の練馬の教育を考える懇談会においても、特色ある学校づくりの中で一貫教育についての慎重な意見とともに、その有用性を認め積極的な意見もあり、今回の2校の研究の成果に大きな期待が寄せられておりました。
最初に、小中連携教育の3年間の研究の成果と課題をお示しください。また、2校の連携の取り組みについては、今後どのような活動になるのかお聞かせください。そして、研究の成果が練馬区内の小・中学校でどのように活用が図られるのかお伺いいたします。
広島県立教育センターでは、平成14年度、児童・生徒の規範意識の育成を図るため、異年齢交流にスポットを当てた実践研究を行いました。この研究から、異年齢交流が児童・生徒の規範意識を高めるとともに、他者への愛着、信頼感といった肯定的な他者意識やモデルの形成を促進するとともに、自己有用感、自己存在感などの肯定的な自己意識を強めることがわかりました。異年齢の人とのかかわりが多い児童・生徒ほど規範意識が高い傾向にあるというのであります。そして児童・生徒の規範意識の育成において、同年齢での活動にとどまらず、異年齢の児童・生徒がかかわり合う幅広い活動を展開することが有用であると結論づけております。まさに小中連携教育の目的の一つを証明しているのであります。
練馬区において、不登校の生徒数は、小学校を卒業し中学校1年生になると3倍以上になる状況であります。学びの円滑な接続も含め、小学校と中学校の段差にいかにスロープをかけるかが喫緊の課題となっております。小中連携教育は、小中学校の地理的な課題も残りますが、施設を共有している小・中学校や敷地が隣接している小・中学校などから、練馬区として積極的に推進すべきであります。ご所見をお伺いいたします。
2点目は、学校評価についてであります。
小・中学校での教育が、児童・生徒にどのような成果をあげ、あるいは課題をもたらしているのかといったことを、学校自らが点検・評価し、その結果を公表することが、平成14年度から文部科学省令により努力義務として求められております。このような中にあって、練馬区として各学校で学校評価を実施しておりますが、その取り組み状況をお示しください。
児童・生徒、保護者や地域の信頼にこたえる学校づくり、また特色ある学校づくりを目指すうえで、学校評価システムの積極的な取り組みが必要であります。そのうえで重要なポイントは、外部による学校評価制度であります。そして今後、学校評価の公開も含め、第三者評価も視野に入れた学校評価が促進されるべきであります。練馬区として、学校評価についてどのように今後充実させていくのかお伺いいたします。
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【区の答弁】平成17年第1回定例会にて 下石神井小学校と石神井南中学校の研究の成果と課題であります。
成果としましては、第1に、教育活動全体にわたる連携実践により教員相互の理解が深まったこと、第2に、児童・生徒の学習に対する興味関心が高まり、きめ細かい専門性の高い指導が実現されたこと、第3に、ともに学ぶことにより社会性が育成されたこと、第4に、異年齢交流により、お互いの思いやりと中学生の自己有用感の芽生えなどが挙げられます。
課題としては、各教科で育成すべき力の確かな定着に向け、更なる授業改善や連携実践研究のより効率的な運営が挙げられます。今後、小中9年間の効果的な指導計画の作成に取り組むとともに、連携実践の更なる充実を図ってまいります。教育委員会といたしましては、連携教育の進め方や効果的な連携実践のあり方など研修の場を、今後積極的に設定してまいります。
次に、今後の連携教育の推進についてであります。
区内に近隣校での合同行事や授業交流、部活動参加などに既に取り組んでいる学校もあります。また、具体的に連携教育の充実に意欲を示している学校もあります。教育委員会といたしましては、このような活動や今回の研究成果を踏まえ、隣接する小・中学校から推進すべく働きかけてまいります。いずれにいたしましても、学校や地域が将来の地域社会を担う子どもたちを一緒に育てていく基本的な方向性を持ち、地域とともにある練馬の学校の更なる充実を図ってまいります。
次に、学校評価についてであります。
学校評価は、本来、教育活動や学校運営について教職員自ら点検、評価し、学校教育の更なる向上と学校教育目標の達成を目指して行われる自己評価です。保護者や地域の信頼にこたえ、開かれた学校を実現していくためにも、学校は評価の結果を公表していくことが重要です。練馬区では、すべての学校で自己評価による学校評価を実施しており、これにより改善点を明確にし、次年度の学校運営の取り組みに生かしております。
また、近年、保護者や地域の方が学校を評価する外部評価が行われるようになり、自己評価とあわせて取り入れている学校は64校、62%となっております。外部評価は、児童・生徒、保護者の意識が把握でき、教職員の意欲が喚起されるなどが成果としてあげられており、教育委員会といたしましても、外部評価を取り入れるよう学校に働きかけてまいります。更に84校で、学校長が保護者や地域の方の多様な意見を伺うための学校評議制度および学校評議員類似制度を取り入れております。
ご提案の第三者評価につきましては、公正・中立な第三者機関による評価として認識しておりますが、研究課題とさせていただき、当面、内部および外部評価の充実や学校評議員の一層の活用により学校改善を図ってまいります。
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