No.13 子どもの安全について

【質問】
子どもの安全についてお伺いいたします。
昨今の治安情勢の深刻化、特に冷酷かつ悲惨な女子児童の誘拐、殺人ならびに死体遺棄事件が全国で連続的に発生し、保護者、地域住民および学校関係者において、学校周辺や通学路等における児童の安全確保が重要視されております。
子どもは、大人とともに社会を形成し、未来へ希望を託す貴重な存在であります。子どもを守り、健やかに育むことは社会全体の使命であります。このことは、練馬区次世代育成支援行動計画にも述べられております。
今、全国的にも各種の犯罪事件を自らの教訓として、すべての子どもが犯罪に巻き込まれることのない、安全で安心なまちづくりを進めることが求められております。今後、すべての区民が一体となって、子どもを犯罪の被害から守るための取り組みを展開することが必要であります。
そのためにも、まず練馬区として、子どもの安全に対する姿勢を明確に宣言すべきではないでしょうか。学校の安全性について、日本社会を震撼させた大阪池田小学校の事件から、本年6月8日で満5年となります。これを機に、練馬区の「子どもの安全を守る日」を制定し、更なる区民の意識向上とともに、区民の皆様の協力を広く訴えていくべきではないでしょうか。ご所見をお伺いいたします。
練馬区では、これまで子どもたちの安全を確保するために、防犯ブザーの配布や学校安全・安心ボランティア事業、地域パトロール体制、安全・安心メールなど、多岐にわたって推進してまいりました。
小学生の女子児童が不審者に声をかけられるという事件が区内でも起こっておりますが、昨年の暮れの事件では、学校の指導が徹底されており、防犯ブザーを鳴らし、大声を出して走って家に戻ったという報告がありました。学校現場の指導とともに、区としての事業が一体となって事件を未然に防げたことは、大変喜ばしいことであります。昨年からの児童に対する犯罪事件を考えると、今後、更に手厚く下校時における子どもの見守りを拡充していかねばならないと考えます。
公明党は、昨年12月から本年1月にかけて、全区立小学校69校を訪問し、聞き取り調査を行いました。校長・副校長から学校の安全対策に対する切実な声を伺ってまいりました。特に最重要と思われる項目をまとめ、2月2日、志村区長、薗部教育長に学校の安全・安心対策の要望書として提出させていただいたところであります。そこで、何点か質問いたします。
1点目は、学校内の安全対策としての校門の防犯カメラやオートロックの設置についてであります。
東京都では、学校への不審者侵入を監視するため、平成18年度中に全公立小学校の校門に防犯カメラを設置し、その設置費の半額を補助することを決定しました。練馬区としては、平成18年度、全中学校に防犯カメラを設置することを決定したことを高く評価いたします。
私たちの聞き取り調査においても、多くの学校から防犯カメラの設置や門扉、昇降口のオートロック化の要望がありました。練馬区の全小学校においても、早急に防犯カメラの設置を要望いたします。ご所見をお伺いいたします。
また、北区、中野区では、平成18年度より不審者の侵入を防ぐため、区内のすべての保育園・幼稚園・小学校の門扉や入り口扉にオートロックを設置します。
オートロックについては、わが党として平成16年度決算特別委員会や平成17年度予算特別委員会、第二回定例会一般質問の中で主張してまいりました。練馬区として子どもたちの一層の安全のために、門扉や入り口扉にリモコン開閉式のオートロックの設置を強く要望いたします。練馬区においては、学校安全・安心ボランティア事業と連携し、大変有効性の高い防犯対策になると考えます。現場の声を吸い上げ、早急に実施すべきであります。ご所見をお伺いいたします。
2点目は、地域での子どもの見守りネットワークについてであります。
埼玉県では、埼玉県警がコンビニエンスストア防犯協議会と連携して、コンビニ110番制度が平成14年より始まっております。県内全域のコンビニエンスストアを地域のセーフティーステーションと位置づけ、安全で安心して暮らせるまちづくりを推進するため、相互に情報交換等を密にし、地域安全活動を実施しております。店舗には警察官の漫画をプリントしたセーフティーステーションの看板を設置し、救助を求める子どもや女性を保護し警察に通報するなど、弱者を守るための活動を行っております。
練馬区としても警察とコンビニが連携をとり合い、子どものセーフティーステーションとなるよう推進していただきたいと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
また、東近江市では市と郵便局が連携し、「こども110番事業」が始まりました。市内全郵便局に避難場所を示す「こども110番の家」を表示するとともに、車やバイクにもステッカーを張り、子どもの安全が脅かされそうな状況を見つけた場合には警察に通報するという事業であります。
練馬区でも、このように地域の中で活動している諸団体と連携し、子どもの見守りを幾重にも広げていくことが重要であると考えます。ご所見をお伺いいたします。
また、各学校単位のPTA・警察・町会などが一体となった安全協議会の設置も必要であると考えます。ご所見をお伺いいたします。
更に、地域の中で地道に活動していただいているわんわんパトロール等の皆さんへゼッケンや腕章、ステッカー等を貸与し、児童の見守りの支援をしていただくことも大きな成果につながると考えます。ご所見をお伺いいたします。
この項の最後に、防災行政無線の活用について伺います。
区民の皆様に下校する児童の見守りを広く直接呼びかけ、協力を求めることは、子どもの安全のために不可欠であると考えます。
山梨県山梨市や甲州市では、昨年11月より児童の下校時、2時15分から2時30分の間、防災行政無線を使い、市民に児童の見守りを直接訴えております。そのアナウンスは、「ただいま、児童の下校時の安全対策を強化しています。市民の皆様に見守っていただき、子どもたちが安全に下校できますようご協力をお願いします」という内容であります。下校の時間になると、同放送を合図に市民が家の前に出たり、通学路のコースを散歩するなど、子どもを見守る機運が市全体に高まってきているそうであります。また、荒川区では、ひったくりなどの事件を防災行政無線を使い、区民に情報提供し、開始した2003年には前年に比べ、ひったくりで30%減、車上ねらいが45%減など、犯罪防止に成果を上げていると伺っております。
防災行政無線を活用すべきとの区民の皆様の声を区としてどのように受けとめられているのか、ご所見をお伺いいたします。

【区の答弁】平成18年第1回定例会にて
薗部教育長:
 はじめに、全小学校への防犯カメラの設置についてであります。
 ご指摘のとおり、東京都から平成18年度中に防犯カメラ未設置小・中学校等へ設置を進めるという小・中学校等防犯設備整備補助制度が示されております。
 練馬区におきましては、都の補助制度が示される前に小・中学校への防犯カメラの計画的な設置を方針化し、まず中学校から設置することとし、平成18年度当初予算案に計上したところであります。その後、東京都から当該補助制度が提示されたことを受け、平成18年度中に小学校への設置を行いたいと考えております。
 2点目に、門扉や入り口扉へのリモコン開閉式オートロックの設置についてであります。
 練馬区におきましては、昨年3月に設置いたしました第2次学校安全対策検討委員会の提言にもありますとおり、学校の安全につきましては、地域に開かれた学校づくりの方向性を堅持しつつ、全小学校で活動していただいている学校安全・安心ボランティアを中心に据えながら、さまざまな安全対策を講じております。
 ご提案のオートロックにつきましては、来客時にオートロックの開錠をするために、その場所に必ず人的配置をしなければならないことや、地域の方々が来校した際に心理的な障害となる危惧があるなどのほか、経費面においても課題があり、設置については引き続き検討してまいりたいと存じます。
 いずれにいたしましても、教育委員会といたしましては、今後とも危機管理室と連携しながら、効果的で総合的な学校安全対策に取り組んでまいります。

危機管理室長:
 区民の皆様が安全に安心して生活できるまちづくりを進めることは、区政の最重要課題の一つであります。とりわけ、未来を担う子どもたちの安全確保は、今日、最優先の課題であると認識しております。これまでも、教育委員会との連携を密に行うとともに、練馬区安全・安心協議会等を通じて区民・関係行政機関・関係団体等が一体となって、さまざまな事案に対し、迅速かつ柔軟に対応し、子どもの安全確保に取り組んでまいりました。
 この取り組みの中で、今後、区民の皆様に対し、啓発・呼びかけを行う際には、子どもの安全に対する区の姿勢を明確に示していくよう留意してまいります。また、幾多の悲惨な事件の教訓を忘れることなく、日常的な施策を更に推進するとともに、機をとらえたイベントなどを定期的に行い、継続的なものとして根づかせていくことにより、なお一層の効果を上げていきたいと考えるところであります。
 なお、「子どもの安全を守る日」制定のご提案につきましては、これらイベントの定期的な開催等を通じて広範な区民の皆様のご意見をお聞きしながら、引き続き検討さていただきたいと存じます。
 いずれにいたしましても、区として多くの区民の皆様のご協力をいただきながら、子どもたちの安全を守るため、全力を尽くしてまいります。
 次に、地域での子どもの見守りネットワークについてであります。
 コンビニエンスストアに関しましては、区内でも、既にひまわり110番の設置などを通じ、子どもの安全確保について連携を図っている例があります。今後、PTA等関係団体とも調整を図りながら、区として全区的に協力のお願いをしてまいります。
 また、車やバイクにステッカーを張り、子どもたちの見守りをしていただく事業に関しましては、現在、同様の趣旨で協定を結んでおります米穀商組合などに加え、積極的に区内諸団体・企業に対し、協力を要請していきたいと存じます。
 そして、ご提案いただきました各学校単位での安全協議会につきましては、今般、新長期計画において事業化いたしました地域防犯・防火連携組織や教育委員会における学校応援団構想との調整を図りながら、その目的を実現すべく努めてまいります。
 また、ご指摘のわんわんパトロールを実施していただいている皆様にも、既に地域防犯・防火活動団体として登録をいただいておりますが、今後、配付するパトロール用品について、選択肢や数量の拡大を検討させていただきます。
 次に、防災行政無線の活用についてであります。
 防災行政無線によるお知らせは、多数の区民の皆様に迅速かつ同時に情報をお伝えできることから、大きな効果が期待されます。しかし、一方で、伝達する時間や頻度についての論議や正確性の担保など多くの課題もございます。他自治体での実施結果なども検証しながら、検討を続けさせていただきたいと存じます。

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