次に、障がい者アートについてお伺い致します。
本年6月、障がい者によるアートを広めることを目指す「障害者文化芸術活動推進法」が成立しました。この法律は、障がいのある方が文化芸術を鑑賞・参加・創造できるような環境整備や支援を促進する内容となっております。障がいのある方々の文化芸術活動のさらなる推進が期待されており、以下数点質問いたします。
1点目に、「障がい者アート」は鮮やかな色彩で描かれた作品、観る人を圧倒するようなモチーフの反復とその集積によって作られた作品、対象を独特の視点からとらえた作品など、その芸術性が注目を集めております。現在、区の障がいのある人の美術作品は、公共施設などの小さなスペースで展示されることがほとんどであります。我が会派は以前にも、障がい者の芸術活動の支援をより一層推進していくために「視野を広げる」という視点と、「優れた才能を伸ばす」という視点を踏まえた仕組み作りを行うことが必要であると要望致しました。最初に区として、法律の施行がある中で、障がい者アートについてのご認識をお聞かせください。
2点目に、区は平成17年3月に「練馬文化芸術振興条例」を策定し、同時に「練馬文化芸術の振興に関する基本方針」を定めました。平成27年6月には、「みどりの風吹くまちにあそぶ〜練馬区学びと文化の推進プラン〜」を策定、学びと文化芸術の分野は、心の豊かさや暮らしやすさに重要な役割を果たしていくことになると言っています。まさしく障がい者アートに対する考えと同一ではないかと考えます。私は、この度の法の施行、国が進めている障がい者の文化芸術の推進を図る観点から、区としても明確な位置付け、方向性を基本方針等に示すべきと考えますが御所見をお伺い致します。
3点目に、障がい者アートには、その芸術性以外に、障がいがあることを人間1人ひとりの個性として活かすことのできる場と考えます。個性が尊重されるアートでは、障がいの有無にとらわれない世界があります。社会に広がれば共生社会につながるのではないでしょうか。先の健康福祉委員会の視察先であった高松市では、障がいのある人の美術制作を長期にわたって地道に支援してきた関係者の努力と歩みが見られました。先進的にとり組んでいる自治体を参考に、区は今後、障がいの有無に関係ない作品展や日常的な販売の仕組みなど、今までのような福祉という観点からではなく、文化芸術という視点による障がい者アートを具体的に活かす事業が必要であると考えます。御所見をお伺い致します。
また、練馬区内には、障がいがありながら刺繍画家として活躍されている方がいます。その作品を鑑賞した方は「一針一針、指先から生み出される繊細さと力強さ、糸の光沢、色糸が醸し出す世界がすばらしい」と話しております。このような素晴らしい方は大勢いらっしゃいます。障がいがあっても芸術性が高く、その方の素晴らしい感性に気づき共感できる人、活躍できる場の確保をする支援が重要と考えます。区には、素晴らしい芸術家がおります。また芸術家を目指す大学もあります。美術館もあり、例えばワークショップを開催するなど、知り合い、つながる機会、仕組みを考えてほしいと思いますが、併せて御所見をお伺い致します。
4点目に、福祉施設や学校等で芸術を創造するための環境整備であります。高松市では、障害福祉施設等へ芸術家を派遣し多くの障がいのある人が継続的に芸術活動に携わることができる「高松市障がい者アートリンク事業」を2014年から実施しております。昨年度は10ヶ所の障害福祉施設等へ7人の芸術家が出向き、絵画・音楽・ダンス・陶芸の創作活動を行いました。芸術活動を通じて障がい者の感性・創造性を育み、自分の可能性に気づくことで、生きがいになっている方もおられました。自分らしく暮らせる福祉社会の構築を目指しているとのことです。障がいの有無に関係なく芸術性を見出せる、育むことができる継続的な環境が福祉施設や学校等に必要だと考えます。御所見をお伺い致します。
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( 平成30年 第4回定例会 )
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