No.19 認定こども園について

【質問】
 学校教育を中心とする現行の教育制度は、戦後、教育の普及という面で大きな役割を果たしてまいりました。一方、近年では不登校や引きこもりの増加、いじめや未履修問題なども明らかになり、現行の教育制度について、子どもが成長していくためのシステムが機能していないのではないかとの指摘もなされております。こうしたことから、新しい時代に即した教育制度への改革を進めるため、昨年、教育基本法が改正されました。新しい教育基本法の最大の特徴は、今までの教育基本法の骨格となる理念を堅持しつつ、時代の変化に対応した新しい項目、生涯学習の理念や障害者への教育的支援、家庭教育など8つの条文が盛り込まれたところにあります。その中で、特に幼児期の教育が項目として盛り込まれました。自治体としても就学前の子どもに適切な幼児教育・保育の機会を提供し、その時期にふさわしい成長を施すことや、また、親の育児力の向上を支援することを通じて、子どものよりよい育ちを実現することが大きく求められております。最初に、練馬区として就学前の教育・保育をめぐる現状と課題について、ご所見をお伺いいたします。
 核家族化の進行や地域関係の希薄化などによる家庭や地域の子育て力の低下等を背景に、子育てが孤立化し、子育てに不安や負担を感じる親が増加しております。その中で、現実に子どもたちの育ちについては、基本的生活習慣や態度が身についていない、運動能力の低下、他者とのかかわりが苦手等、大きな課題があります。また、少子化の進行や教育・保育ニーズの多様化に伴い、これまでの取り組みだけでは対応できない状況も顕在化しております。練馬区としても更なる子育て支援策を講じていくことが強く求められております。
 国は、昨年6月に、就学前の子どもに関する教育・保育等の総合的な提供の推進に関する法律を公布し、これに伴い、認定こども園制度が平成18年10月より施行されました。この認定こども園制度は、今まで保護者が働いている、働いていないという就労の有無によって保育園・幼稚園などの利用施設が限定されていたものを、就労の有無にかかわらず施設利用を可能にするものであります。更に、地域における子育て支援を行う機能として、すべての子育て家庭を対象に、子育て不安に対応した相談活動や親子の集いの場の提供なども行う機能をあわせ持つものであります。
 4月の区長選でも、志村区長のマニフェストの中に認定こども園の新設・誘致の実現が挙げられておりますが、今後どのように推進されようとしているのかお伺いいたします。
 また、区立保育園の待機児童の解消を推進していくためにも有効であると考えますが、そのご所見をお伺いいたします。
 また、区内私立幼稚園の中には、保育園施設を設置する動きも仄聞しておりますが、練馬区としてどのように連携し、また支援していこうとされているのかお伺いいたします。認可保育所・認証保育所の整備や休日保育、延長保育、一時保育の拡充とともに、認定こども園を積極的に導入すべきであります。ご所見をお伺いいたします。

【区の答弁】平成19年第2回定例会にて
志村豊志郎区長:
 私は、今回の区長選挙において、すべての区民の皆さんが住み慣れた地域で、心豊かに暮らし続けるための基盤やネットワークづくりに取り組み、「健やかに暮らせるまちづくり」を推進することを政策に掲げてまいりました。
 特に、明日の練馬区を心豊かなものにしていくためは、次世代を担う子どもたちの健全な育成を支援することが重要な課題であります。私は、選挙の中で、多くの区民の皆さんのご意見を伺いました。その中で、子育て世代の方々などから、保育の充実とともに、就学前の児童についてもご指摘いただいたことで、教育的な指導を求める声をちょうだいしました。
 ご質問の認定こども園は、就学前の子どもを保護者の就労の有無にかかわらず受け入れ、幼児教育と保育を一体的に提供することとともに、地域における子育て支援の機能を備えた施設であります。幼児教育の充実や多様化する子育てのニーズへの対応、区内保育園の待機児解消策として有効な手法の一つであると認識しております。しかしながら、認定こども園には、施設整備や職員配置などで調査・検討すべき課題があります。そこで、今後策定する中期実施計画の中で、認定こども園の設置につきましては、誘致も含め検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、区内の幼稚園と保育園が連携を強化することは、就学前の児童の教育・保育の充実を図るため、重要な方策であると考えております。そのために必要な区の支援策につきましては、関係者のご意見を伺いながら、今後、検討を進めてまいりたいと考えております。

Copyright (C) 2004-2007 うすい民男 All Rights Reserved