No.21 権利擁護について

【質問】
 権利擁護についてお伺いいたします。
 練馬区では「権利擁護センターほっとサポートねりま」が平成17年10月3日に開設されました。同センターでは地域福祉権利擁護事業として判断能力が十分ではない認知症の高齢者や知的・精神障害のある方が、住み慣れた街で長く暮らすことができるよう、財産保全、金銭管理や福祉サービスの利用手続きの代行等のサービスを行っております。サービスを必要とする方々がサービスを適切に利用するために一体的に支援を行っている「ほっとサポートねりま」の事業は大変重要であり有効な事業として高く評価をいたします。また、平成18年度の福祉サービスの利用援助や成年後見制度などに係わる相談件数が延べ4200件を越えており、認知症高齢者やひとり暮らし高齢者の増加に伴ない、権利擁護に関する様々な潜在的な需要が増えている状況の中で、同センターを更に拡充していく必要があると考えます。最初にその現状と方向性について御所見をお伺いいたします。
 同センターでは、地域福祉権利擁護事業のほかに、判断能力が十分でない認知症の高齢者や障害者の方々の地域生活を支援する有効な法制度として、本人に代わって家庭裁判所が選任した成年後見人が財産管理や契約などの手続きをおこなう成年後見制度の利用の促進を図っております。この制度は、親族や区長による申し立てによって制度の手続きが行われます。全国的に平成12年度からの開始以来毎年増加傾向にありましたが、平成18年度では急増し全国で32000件を越える申し立てがありました。この現状を区としてはどのようにお考えなのでしょうか。また、区としてこの後見制度利用促進のためにどのような対策をお考えなのでしょうか。御所見をお伺い致します。
 成年後見を必要とする高齢者や障害者についていかにそのニーズを把握し、後見制度に結びつけるかという取り組みは、大変重要であります。障害者については福祉園等の保護者会での成年後見制度の説明会などにより利用手続きの周知を図っていると聞いております。一方、高齢者については、成年後見制度の利用が必要な方を実際に把握することは大変困難な状況であります。しかも高齢化に伴ない、今後、ますます認知症高齢者が増える事が予想されます。区として認知症の高齢者に対するアンテナを広く張り、成年後見を必要とする高齢者を把握する仕組みを確立し、積極的なアプローチを働きかけるべきであります。御所見をお伺いいたします。
 被後見人のうち家族の居る方は、配偶者や子どもが後見人となることができます。そして資産のある方は弁護士等の専門家が後見人として対応することが可能です。しかし、身寄りが無く、資産の無い高齢者では成年後見制度の利用が大変厳しい状況であります。その解決のために東京都では、平成17年度重点事業として「成年後見活用あんしん生活創造事業」を創設し、成年後見制度の活用促進に取り組み本年度で3年になります。誰もが必要に応じて制度を利用できるよう地域にセーフティーネットの仕組みを作るとともに、後見人やその支援者の裾野を広げることを目指しております。東京都では新たな後見人になる人材として「社会貢献型後見人」の養成に取り組んでおります。現在、後見業務を担っている親族や弁護士等の専門家以外に、これまでの人生で培ってきた経験を活かし、成年後見制度の主旨と内容を理解し、社会貢献的な精神で後見業務を担っていただく方を東京都では「社会貢献型後見人」と呼んでおり、その育成が進んでおります。練馬区からもこの2年間で13人が受講し、さらに区としてもこの13人の方々への講習を実施し致しました。本年7月5日に東京家庭裁判所は、社会貢献型後見人として世田谷区の60歳、元銀行員を後見人として選任しました。今後このような社会貢献型後見人が家庭裁判所から更に選任されることが予想されます。このような状況を考えると練馬区としても一刻も早く社会貢献型後見人が活動できる体制を整えるべきであります。御所見をお伺いいたします。 

【区の答弁】平成19年第4回定例会にて
健康福祉事業本部長;
 認知症の高齢者や知的障害者、精神障害者など判断能力が十分でない方々について、福祉サービスの利用援助や成年後見制度の利用支援など、権利擁護のための支援は今後ますます増加していくものと考えております。区といたしましては、区民の権利擁護の拠点として、練馬区社会福祉協議会に設置した権利擁護センター「ほっとサポートねりま」に対し、執行体制の拡充など支援策の充実を図ってまいります。
 次に、成年後見制度についてであります。
 認知症の高齢者などの方々が住み慣れた地域で安心して自立した生活をしていくためには、この制度の適切な活用を推進していく必要があると考えております。区といたしましては、権利擁護センターを練馬区の成年後見制度推進機関と位置づけ、センターの実施する相談事業や周知普及事業、後見人サポートなど、成年後見制度の活用の推進に必要な事業に対し、積極的な支援を実施してまいります。
 次に、後見人制度の利用が必要な高齢者の方の把握についてであります。
 区といたしましても、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯が増加する中で、認知症の進行などにより、後見人が必要となる高齢者の増加が避けられないものと考えております。そこで、地域包括支援センターが中心となり、地域ケア会議の場などを通じて、民生委員・児童委員や介護サービス事業者、町会・自治会関係者などが連携した仕組みを確立し、後見人の必要な認知症高齢者などの把握に一層努めてまいります。
 次に、社会貢献型後見人についてであります。
 ご指摘のように、東京都は、後見人となる親族がいない所得の少ない方の後見人の担い手として、平成17年度から、区市町村と協働して社会貢献型後見人の養成を始めております。
 この社会貢献型後見人が、実際の後見人として本年度初めて、一定の条件のもと、家庭裁判所からご指摘のとおり選任されました。練馬区といたしましても、この社会貢献型後見人が裁判所から後見人として選任されるために後見監督人の確保など、必要な環境を整備し、後見人として選任されるよう努めてまいります。


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