No.26 文化・芸術振興について

公明党は、「文化芸術立国」を目指し、平成13年12月、文化芸術振興基本法の制定の推進をはじめ、文化芸術振興をリードして参りました。未来学者アルビン・トフラーは、彼の著「文化の消費者」の中で文化芸術の担い手が、一部の富裕階層から庶民・大衆へ移行するとき、都市の活力を引き出すことができる、と指摘しております。そこで、以下質問いたします。

 一点目は、文化芸術団体に対する支援であります。
台東区では、平成20年度より新たに「台東区芸術文化支援制度」を開始致しました。新しいことへのチャレンジや実力はあるがなかなか発表の場に恵まれなかったアーティストなどを支援していこうと始めた制度であります。台東区芸術文化財団が窓口となり、財団が支援対象者と共催で企画を実施し、200万円を上限に対象経費を財団が支援するというものであります。本年4月の説明会には多数の参加があり関心の高さを物語っておりました。練馬区文化振興協会は、指定管理者として18・19年度について受託し、20年度からは、文化芸術振興のためのソフト事業に専念するとのことであります。現在、文化振興協会の文化活動支援補助金制度は、練馬文化センター及び大泉学園ホールの施設使用料を補助する内容にとどまっております。今後の方向性として、新たに練馬区にふさわしい企画や新しい表現の想像につながる企画に対してサポートする「練馬区芸術文化支援制度」を発足していただき、意欲のある文化芸術団体や人材の育成に一層強力に取り組んでいただきたいのであります。ご所見をお伺いいたします。

 二点目に練習の場の確保について伺います。
地域の青年からの要望として「楽器の演奏や演劇、ヒップホップなどのダンスなど周りに迷惑をかけずに練習のできる施設をもっと提供してほしい」との声が届けられております。発表施設は充実していますが、公共の練習の場は立後れているのが実態であります。練馬区議会公明党は、本年3月金沢市民芸術村を視察して参りました。この施設は、音楽、演劇、舞踊などの練習場として、24時間、365日オープンしております。6時間1000円という低額な利用料金とともに、運営は市民に任せディレクター制度をとっております。当初、市民に運営を任せることで、建物の破損や備品の盗難、非行の場になるのではとの心配もあったそうですが、10年を経過し何の心配も無く、視察中落書き一つ無いのには感心いたしました。一方、目的を持った人たちが集まる空間として、市民一人一人に責任感が芽生えたとの効果もあったそうです。「練馬区文化芸術の振興に関する基本方針」には、文化芸術振興のための基本的施策の中に「活動の場の充実」があります。是非、練馬区でも公共の練習の場を更に確保し、特に若者が生き生きと活動できる環境を生み出していただきたいのであります。御所見をお伺いいたします。

 三点目に区内3大学との連携について伺います。
これまで練馬区は江古田3大学と連絡会の設置、連携事業として武蔵野音楽大の管弦楽団演奏会や日大芸術学部の日藝アーカイブス、武蔵大学の展覧会など積極的に推進して参りました。区内3大学は、区の文化芸術振興を進めていく上での貴重な財産であります。そこで今後の3大学との連携事業のひとつとして区立小中学校との文化交流をより積極的に推進すべきであると考えます。武蔵野音大では、3年時にプレ教育実習を要望する大学側の意向も側聞しております。例えば大学生が定期的に小中学校のブラスバンド部や美術部などの文化部の活動で技術指導をすることは、大きな文化交流となります。また、小中学生が3大学を訪問しデザインや音楽などの指導を受けることができたら大変価値のある交流になります。是非3大学と区立小中学校との文化交流を積極的に推進していただきたいと思います。御所見をお伺いいたします。

 この項の最後に、アニメ振興策についてお伺いいたします。
6月11日より3日間、商工観光課長がフランス、アヌシー市で開催される国際アニメ見本市に、視察訪問と伺っております。是非この機会に練馬区のアニメ文化・アニメ産業を世界に大いにアピールしていただくとともに、さらに今後インターネット等を活用し全世界に練馬のアニメの情報を発信すべきであります。また、練馬区内にある貴重な文化財産であるアニメ財産を管理し、公開していくことが今後の区としての取り組むべき課題であります。併せて御所見をお伺いいたします。

【区の答弁】平成20年 第2回定例会にて
志村豊志郎区長;
 区は、平成17年3月に練馬区文化芸術振興条例を制定し、多様な文化芸術事業を推進してまいりました。私は、いまや人口70万人を超える大都市となった練馬区を、豊かさとゆとりある文化の香りあふれるまちとして築いていくために、区民の皆様の主体的な文化活動への支援や、区内の文化芸術資産の更なる活用など、幅広い観点から総合的に文化芸術振興施策を展開していくことが必要であると考えております。
 そこで、五味康祐氏の遺産の寄贈を契機として、本年1月に文化芸術資産活用委員会を設置したところであります。また、今年度から、練馬文化センターの管理を民間にゆだね、練馬区文化振興協会は本来の文化芸術振興事業に専念することといたしました。今後は、有識者からも助言をいただきながら、区と練馬区文化振興協会が一層緊密に連携して、これからの文化芸術振興施策のあり方を再構築していくことが必要であると考えております。
 ご提案の文化芸術団体に対する支援制度および練習の場の確保につきましても、区民の皆様の活発な文化活動を促すための施策として、その中で検討してまいります。
 次に、区内3大学との連携についてであります。
 区は、練馬区文化振興協会と武蔵野音楽大学、武蔵大学および日本大学芸術学部の3大学とともに、文化芸術振興推進連絡会を設け連携して事業を行っております。3大学の多彩な文化活動や情報資源は貴重な財産であり、小・中学生の豊かな心の育成を図るためにも連携を深めることは大変有益であると考えております。区といたしましては、学生ボランティアによる小・中学校の教育活動への支援や、3大学による演奏会、展覧会等に小・中学生の参加を促すなど、大学と小・中学校の文化交流を一層推進していくよう働きかけてまいります。
 次に、アニメの振興についてであります。
 練馬区を発祥の地とする日本のアニメは、今日、わが国を代表する産業に成長するとともに、そのすぐれた映像作品は世界中で愛されております。区内のアニメ事業者によって構成される練馬アニメーション協議会は、昨年に続きフランスのアヌシー国際アニメ映画祭見本市に出展をいたします。私は、練馬区で制作されたアニメが更に世界で発展する大きな機会であるととらえ、この出展に合わせて現地に職員を派遣し、積極的にアピールしてまいる考えであります。
 次に、インターネットを活用したアニメ情報の発信についてであります。
 区では、ケーブルテレビで放送したアニメ資源紹介番組をインターネットでも動画配信し、世界中のどこからでも練馬区のアニメ情報が見ることができるよう準備を進めております。更に、アニメに関する資料につきましては、(仮称)ふるさと文化館において展示の準備を進めております。今後ともアニメ事業者等との連携を深めて、区内のアニメ資源の紹介に努め、アニメのまち練馬区を強く発信してまいりたいと考えております。

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