■5歳児健診の早期導入を
現在、乳幼児健康診査は、各市町村が実施しており、対象年齢は0歳・1歳半・3歳で、その後は就学時健診となります。
この3歳児健診から就学時健診までの、期間の開きすぎが、近年増加している「発達障害」の大きな課題となっております。発達障害は、5歳程度になると健康診査で判明することが多く、就学前まで健診の機会がなく、就学時健診で発見されたのでは対応が遅くなり、それだけ症状が進むと言われております。また、就学時健診で発見されても、保護者がその事実を受け入れるのに時間がかかり、適切な対応・対策を講じる機会を失う中で子供の就学を迎えるために、状況を悪化させてしまっているといった現状があります。
厚生労働省の平成18年度研究報告書によると、鳥取県の5歳児健診では9・3%もの幼児が発達障害があると診断されたものの、こうした幼児の半数以上は3歳児健診では何ら発達上の問題を指摘されていませんでした。報告書の結論として、現行の健診体制では十分に対応できないとしております。
以上のことから、スクリーニングとして最適であり、かつ問題を抱えることが予想される就学までの1年間の余裕を持てるような5歳児健診が、医学的にも社会的にも必要であると考えられます。現在、鳥取県・栃木県が全国に先駆け、県内の全市町村において5歳児健診を実施しております。是非、練馬区においても早期発見で多くの未来ある子どもたちを支援するために5歳児健診の早期導入を強く要望致します。御所見をお伺いいたします。
■保育士等の「気付き」 保健相談所や身障センターと早期連係を図るしくみを
また、発達障害の早期発見のためには、保育所や幼稚園等の日常生活の場での保育士や教諭等の「気付き」により発見されることが少なくありません。この点については、本年7月に発表された厚生労働省の「障害児支援の見直しに関する検討会報告」にも明確に述べられております。練馬区の保育所や幼稚園等で保育士等が「気付き」、それを保健相談所や身障センターと連係を図ることにより早期対応につなげるしくみを、ぜひ構築すべきと考えます。御所見をお伺い致します。
■(仮称)こども発達支援センターの整備には新たな施設の確保を
練馬区では、発達障害の子どもに対して早期療育・支援を図るため、中村橋の心身障害者福祉センターにおいて発達支援事業を実施しており、昭和54年8月の開設以来29年間大きな役割を果たして参りました。発達障害の子どもたちやその保護者にとって安全安心の拠点といっても過言では無く、その取り組みを高く評価いたします。一方、発達障害者支援法の施行、障害者自立支援法の全面施行、特別支援教育の実施と発達障害の子どもたちを取り巻く状況は、大きく変化しております。
さらに丁寧に対応するため区として平成22年度に「(仮称)こども発達支援センター」の整備を目指しております。そこで質問いたします。
現在の心身障害者福祉センターの現状として、発達の遅れを心配する相談件数が年々増加し、平成12年度と比べ総数で1・3倍に増加。また、多様化する障害児に対する発達支援の実施も望まれております。そのような中で(仮称)こども発達支援センターを整備することは時機を得た事業であります。しかしながら懸念されることは、現在の中村橋の施設のキャパシティーで対応できるかということであります。発達支援を必要とする子どもの増加・低年齢化に対応するため支援日数や支援時間を減らすことにより受け入れの工夫をしていたが限界にきていることもお聞きしております。これらのことから(仮称)こども発達支援センターの整備については、手狭になっている現在の中村橋の施設から独立し、新たな施設を確保すべきであります。光が丘地域の学校統廃合による学校跡地を利用すべきと考えます。御所見をお伺いいたします。
■(仮称)こども発達支援センターにコーディネーターの役割を
また、支援を必要とする障害児は乳幼児期、学齢期、青年期と成長するとともに、育ちの場や関係者も変わって参ります。支援の一貫性が途切れているのが現状であります。(仮称)こども発達支援センターには、練馬区の障害児を一貫して支援していくコーディネーターとしての役割を持たせるべきと考えます。御所見をお伺いいたします。
■保護者への支援を
また障害があり、親がそれに気付き、適切に対応できていないなど、十分な支援につながっていない場合があります。このように「気になる」という段階から、親子をサポートする仕組みが大切であります。そのためには、親にとって身近な敷居の低い場所で相談・支援が受けられるようにしていくことが極めて重要であります。(仮称)こども発達支援センターは、親が、気楽に訪問できるような体制をとるとともにネーミングにも配慮すべきであります。また、更に子育てという視点からも保護者を支援していくことが大変重要であります。併せて御所見をお伺い致します。
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【区の答弁】平成20年 第3回定例会にて
健康福祉事業本部長;
まず、5歳児健診の導入についてであります。
本区では、1歳6か月や3歳の健康診査において、身体的な発達ばかりでなく、言語、自閉傾向、多動等の精神的な発達面も重視し、心理相談等を組み込んだ対応を行っております。母子保健法の規定に基づく健診は、この3歳児健診で終了となりますが、それ以後も保健相談所において、不安を持つ保護者に対して相談に応じているところであります。
一方で、ご指摘のような発達障害は集団生活に入って初めて気づかれることも多く、5歳児の健康診査が有効であるとの厚生労働省の研究班の報告書もあります。区としましては、今後、5歳児健診など、軽度発達障害を早期に発見し、適切な支援につなげていくための仕組みづくりについて検討してまいります。
次に、早期発見・早期支援のための関係機関の連携についてであります。
この点につきましては、現在も連携を図っており、例えば保育園における気づきから保健相談所の相談につなげ、更に専門的な診断が必要な場合には、心身障害者福祉センターにおいて面談・診断のうえ発達支援につなげることなどをしております。今後も気づきを大切にし、関係機関の連携をより一層充実してまいります。
次に、(仮称)こども発達支援センターの整備についてであります。
ご提案の光が丘地域の学校跡施設利用につきましては、学校跡施設活用検討会議の検討経過も踏まえ、今後、施設規模や設置場所などについて検討してまいります。
次に、(仮称)こども発達支援センターの役割についてであります。
関係機関が連携し、一貫した支援を行っていくことは大変重要なことであります。一貫した支援を行っていくうえでの(仮称)こども発達支援センターの役割につきましては、今後立ち上げる(仮称)こども発達支援センターのあり方検討会での検討結果やご指摘の趣旨を踏まえ検討してまいります。
次に、保護者の方への支援等についてであります。
子育ての場面で不安や戸惑いを感じる保護者にとりまして、気楽に訪問できる場所づくりは非常に重要なことであります。そのためには、名称も含め支援体制を検討してまいります。 |
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