文部科学省は、平成19年4月「アレルギー疾患に関する調査研究報告書」を公表しております。その中で、児童生徒のアレルギー疾患の有病率は、気管支喘息5・7%、アトピー性皮膚炎5・5%、食物アレルギー2・6%等、多くの児童生徒がアレルギー疾患に苦しんでおります。学校にはアレルギー疾患の子どもたちが多く在籍しているとの前提に立ち、医師の指示に基づき必要な教育上の配慮が出来るような学校の仕組み作りが必要である、との提言がなされました。
また、本年3月には、日本学校保健会が発行した「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」が取りまとめられました。このガイドラインは、アレルギー疾患の児童生徒の個々の症状を正しく把握するためにアレルギー疾患用の学校生活管理指導表を作成し、それに基づいた具体的な学校の取り組みをまとめたものであります。アレルギー疾患用の学校生活管理指導表は、疾患ごとに病気の程度・種別や治療内容、学校生活上の留意点や緊急連絡先などを主治医や学校医に記入していただき、保護者を通じて学校に提出されます。そして疾患に応じた対策を講じ児童生徒個別の取り組みプランを作成し、学校全体として、きめ細かな対応、適切な対処が可能になるものであります。そこで以下質問いたします。
1点目に練馬区の児童生徒のアレルギー疾患の実態について調査を実施すべきと考えます。御所見をお伺い致します。
2点目に、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」の学校現場への周知と研修についてであります。このガイドラインは、医療に関わることも多く含まれているため、正しい知識に基づく正しい理解が必要であります。児童生徒、保護者、教職員の全員が正しく理解して始めて機能するものであります。そこで、ガイドラインの情報を正しく理解し共有するためには教職員全員への研修が重要であり推進すべきであります。また保護者への周知も丁寧に図るべきであります。そして医師会との連携が極めて重要であります。この3点についてお考えをお伺いいたします。
3点目は、アレルギー疾患用の学校生活管理指導表についてであります。アレルギー疾患用の学校生活管理指導表に基づく取り組みプランの作成は、このガイドラインの中心となるものであります。児童生徒や保護者、医師や学校の理解と協力なしに推進はできません。特に保護者の意見要望を十分に受けとめ、実効性のある体制を整えていただきたい。御所見をお伺いいたします。
4点目にアレルギー疾患別の対応について伺います。このガイドラインにはアレルギー疾患別に細やかな例示が示されております。その中でアトピー性皮膚炎には、汗に対するケアが大切であり、特に大量の汗をかいた時にシャワーを浴びて汗を洗い流すことは症状緩和に効果的であると明示されました。このガイドラインの中には茅ヶ崎市立小学校の温水シャワー浴が掲載され、有用性が報告されております。
是非、練馬区においてもアトピー性皮膚炎の子ども達が夏場や体育後の汗を流すための温水シャワーの出来る体制を整えていただきたいのであります。御所見をお伺いいたします。
5点目に食物アレルギー・アナフィラキシーのような緊急時の対応策であります。アナフィラキシーショックなどの緊急を要する重篤な症状に対しては、アドレナリン自己注射薬「エピペン」の使用が有効であります。フィラキシーショックのため児童生徒が自ら注射出来ない場合、教職員が代わって注射することについて、医師法違反にはならず、刑事・民事の責任についても責任が問われないことが初めて明記されました。最初に、練馬区内でエピペンを使用している児童生徒を把握すべきではないでしょうか。御所見をお伺い致します。
また、教職員の「エピペン」使用を実効性のあるものにしなければなりません。各学校にエピペンの使用手順や留意点など周知徹底するとともにエピペンの練習用キットを用いた研修会等を開催していただきたい。またその中で学校現場での具体的な対応についての情報交換も実施していただきたい。御所見をお伺いいたします
|
【区の答弁】平成20年 第4回定例会にて
薗部俊介教育長;
学校のアレルギー疾患に対する取り組みについてであります。
第1に、児童・生徒のアレルギー疾患の実態の調査についてであります。
各学校においては、従来から個人別の保健調査票により、必要な健康上の項目について毎年把握しているところであります。
ご指摘の「アレルギー疾患用の学校生活管理指導表」は、特にアレルギーに着目して詳細な内容を記入することから、各学校への導入を図るとともに、教育委員会としても集約を行い、実態把握に努めてまいります。
第2に、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」に関する取り組みについてであります。
1点目の教職員に対する研修につきましては、本ガイドラインの内容が教職員全員に理解されるよう、校内研修の実施を促してまいります。
2点目の保護者に対する周知につきましては、ガイドラインの概要や意義についてわかりやすく説明した文書を教育委員会が発信するなど、丁寧に対応してまいります。
3点目の医師会との連携につきましても、医師による調査表記入にかかわる取り扱いなど、国・都において調整すべき課題もありますが、区として一層の連携を進めてまいります。
第3に、「アレルギー疾患用の学校生活管理指導表」の活用に際しての体制づくりについてであります。
これまで述べてまいりましたように、教職員、保護者および医師の理解と協力を得ることにより、学校、関係者が共通理解のもと、アレルギー疾患を持つ児童・生徒に対して、これまで以上に細やかな対応を実現できるものと考えております。
第4に、アトピー性皮膚炎に対応する温水シャワーの設置についてであります。
練馬区では、平成15年に改築した光和小学校の保健室に既に設置しており、現在、改築設計中の豊玉南小学校においても保健室に温水シャワーを設置することとしております。今後も改築の際には、積極的に対応を進めてまいります。
第5に、アナフィラキシー等緊急時の対応についてであります。
学校生活管理指導表の導入により、緊急時における処方薬を使用する児童・生徒の把握を図ってまいります。そのうえで、学校間ならびに学校と教育委員会との綿密な情報交換を行うとともに、ご指摘の練習用キットを用いた研修会の実施についても検討を進めてまいります。
|
|