No.51 耐震改修促進について

 まず区立小中学校の耐震改修についてであります。
 阪神・淡路大震災から15年、そして1月12日にはカリブ海のハイチで20万人の死者を推定する大地震が起きる中、練馬区は、命に直結する事業として区内小中学校の耐震改修工事を進めております。しかし、23区内では5区が耐震改修を100%完了しておりますが、練馬区は改修率が70・8%と最下位のランクであります。
 一方、文科省は、平成22年度に約5000棟の耐震化を計画、約2775億円の予算を見積もっておりました。これは自治体からの要望を審査し使途を限定した補助金として交付しており、ほぼ毎年申請通り認められております。しかし、昨年11月の事業仕分けを経て予算案は1032億円に縮減、約2200棟分の確保にすぎず、一部の工事が遅れる可能性が出はじめており、全国の自治体で大きな問題となっております。人命を軽視するかのような予算削減は全く容認できるものではありません。区はどのようにお考えなのでしょうか。練馬区はこのたび当初の予定通り23年度完了目指し予算化されたことを高く評価いたしますが、この財源については、断固、国に求めていくべきであります。区のご決意をお伺いいたします。

 次に、民間建築物の耐震化であります。
  練馬区耐震改修促進計画では、平成27年度までに耐震化率の目標を90%に設定しております。目標を達成するためには共同住宅を含んだ住宅全体として37400戸の耐震化が必要であり、そのうち建て替えによる見込みを差し引くと残り3700戸の耐震化を促進しなければならない、としております。現在、戸建て住宅については昨年12月までの区の耐震改修工事の助成実績は137戸、簡易補強工事は20戸であり、23区内では進んでいるものの、目標達成のためには大変厳しい状況であります。最初に、住宅の耐震化の現状と今後についてお伺いいたします。 国は、耐震基準1・0以上の改修工事への助成が基本となっております。しかし耐震改修を促進する上で考えなければならないことは、いざという時に区民の命を守ることができるかどうかであります。また耐震改修対象者は高齢者が多く、その経済的負担は重いという点を踏まえるならば、今後、区として簡易補強工事にさらに力を入れていくべきであると考えます。また、簡易補強工事の助成は、費用の3分の2、最大50万円まででありますが、高齢者に限って思いきった助成の拡大を図り自己負担を減らすべきであります。また、高齢者に対する周知については、やはり口コミが大きな武器であります。町会・自治会等とタイアップしたフォーラム・イベントなどの推進をさらに図っていくべきであります。併せて御所見をお伺いいたします。

 また、19年度から昨年末までの無料簡易耐震診断は1405戸であります。実施設計に結びついた戸数は207戸であり、工事実施に結びつかなかった戸建てについては、耐震改修工事のアプローチを区として図っていくことが重要ではないでしょうか。御所見をお伺いいたします。

 また、分譲・賃貸マンション等の民間建築物の耐震改修は、今後区として積極的に推進していかねばならない大きな課題であります。区は分譲マンションの管理組合等を対象に耐震相談のためのアドバイザーを派遣し耐震化を支援しており、昨年末までの実績は39件であります。さらに区としてマンション住民やオーナーに対してマンションの耐震改修現場の見学会やマンション耐震セミナーの開催等を進めるなど更なる支援が必要であります。民間建築物の耐震改修をどのように推進されるのか、御所見をお伺いいたします。 
(平成22年 第1回定例会)

【答弁】
薗部俊介教育長:
 国の予算額は、当初予算で比較しますと前年度並みを確保しておりますが、必ずしも自治体要望のすべてにこたえているものではなく、その影響につきましては、配分の具体的な内容が定まる段階で明らかになってくるものと考えております。
 区といたしましては、児童・生徒をはじめ区民の命と安全を守ることを最優先に考え、財政的な面を工夫しながら、これまでお示ししてきた計画どおりの予算を計上いたしました。平成23年度末には、改築と同時に耐震化を図る学校を除き、計画どおり、区立小中学校の耐震化を完了すべく、決意を新たにしているところであります。
 いずれにいたしましても、国の補助金は耐震化を進めるうえで財政的な後押しとなるものであり、国は、これまでどおり予算を確保すべきであると考えております。今後、東京都を通じ、耐震化の財源が確保されるよう要望してまいります。

環境まちづくり事業本部長:
 私から、民間建築物の耐震化についてお答えいたします。
 まず、住宅の耐震化についてでありますが、これまで共同住宅を含み、耐震改修工事の助成を184戸に実施しております。また、耐震診断等により259戸の住宅で耐震性が確認され、そのほか、個別の建替えにより耐震化の向上が見込まれております。
 しかしながら、目標の達成については厳しい状況にありますので、今後目標の達成に向けて更なる耐震に関する周知を図り、助成制度の活用が図られるよう、条件の緩和などに努めてまいります。

 また、簡易補強工事の助成につきましては、耐震基準Iw値0.7以上が対象となりますが、一応倒壊しないと言われている基準はIw値1.0以上であり、この基準を達成する改修工事を行う必要があります。従いまして、簡易補強工事の高齢者への助成拡大につきましては、今後の課題として検討してまいります。

 次に、高齢者への周知についてでありますが、地域で行う耐震相談会の開催にあたりましては、会場周辺の町会・自治会等を通じて案内しております。
 今後も、町会・自治会等との連携を密にし、町会・自治会を単位とした周知を図るなど、きめ細やかな対応を図ってまいります。

 次に、無料簡易耐震診断後の対応についてでありますが、耐震工事に至らない戸建て住宅の所有者に対しましては、パンフレットを送付するなど工事を促す取り組みを行っているところであります。更に、地元建築関係団体との連携を図り、耐震工事の推進に努めてまいります。

 最後に分譲、賃貸マンション等の民間建築物の耐震改修についてでありますが、来年度から新たに共同住宅の所有者に対して耐震セミナーなどを実施し、耐震改修を促していきたいと考えております。


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