日本経済新聞社は、経済発展と環境保全を両立させた持続可能な都市、つまりサステナブル都市はどこかを2007年、2009年と2度のサステナブル度調査を実施しました。この調査は、全国の市区を対象に環境保全度、経済豊かさ度、社会安定度の3つの側面から都市の持続可能性を探るものであります。その結果、東京都武蔵野市が全国のトップとなり、2位は三鷹市、3位は愛知県豊田市と上位には経済力のある大都市圏の都市が多く、財政力のある都市が環境関連の施策を積極的に展開する傾向が強いことを裏付ける形となりました。
環境保全度の評価項目は、「地球温暖化対策」など57項目、経済豊かさ度は、「財政基盤力」など6項目、社会安定度は、「医療サービス」など24項目を取りまとめたものであります。練馬区は東京23区のサステナブル度総合評価ランキングでは、前回6位から今回12位と後退しております。特に、社会安定度は23区中22位、経済豊かさ度は20位となっており、住みやすさNO1を目指す我が会派としては、大いに挽回していかなければならないと考えております。
最初に、全国都市サステナブル度調査への参加の意義についてお伺いするとともに、環境保全度・経済豊かさ度・社会安定度のそれぞれの評価に対する区の見解についてお伺いいたします。
また、今回の調査では、低炭素化という政策課題を考慮した新たな指標として、CO2の排出度合いである炭素度に対しサステナブル度は何倍に当たるのかを示す「サステナブル効率指標」が都市ごとに分析されました。練馬区は全国で総合評価34位、項目別では「経済・社会効率指標」は93位、「低炭素度」では28位という結果になっております。そこで区として「サステナブル効率指標」をどのように捉えられているかお伺いするとともに、練馬区の評価結果の分析についてお伺い致します。
また低炭素度では、徒歩・自転車の利用者数の比率である「コンパクト比率」と「公共交通利用比率」の2項目が低炭素に寄与し、特に「公共交通利用比率」が強く影響しております。全体のCO2の排出量に占める交通関連のウェートは高く、公共交通の利用・整備動向がCO2排出を制御する都市の低炭素化を左右する、と結論付けております。練馬区は今般発表された「練馬区環境基本計画」素案の中でバス交通の充実・自転車利用環境の整備を主な事業に位置付けておりますが、みどりバスの新規路線の拡充、既存路線の再編、自転車利用の環境整備など重点事業に格上げし推進すべきであります。御所見をお伺いいたします。
一方、さらに今後増え続ける温室効果ガスの排出削減やみどりの保全など新たな環境行政を推進していかねばなりません。名古屋市では、CO2を排出しない再生可能エネルギーとして太陽光発電を重視しております。市民に太陽光発電の導入を促すため太陽光発電で生まれた電力のうち自家消費分の環境価値を市がグリーン電力証書として譲り受ける代わりに、太陽光発電の設置者である市民にエコマネーのポイントを発行し、市はグリーン電力証書をイベントなどに使用し、当該イベントで排出されたCO2相当分をオフセットする事業を昨年より始めました。練馬区としても全小中学校への太陽光発電の設置とともに、エコマネー・グリーン電力などCO2削減にむけさらに総合的な施策を積極的に推進すべきであります。御所見をお伺いいたします。
昨年は、電気自動車元年とマスコミで報道され、練馬区としても電気自動車2台を導入し、環境施策を進めております。前政権の進めた経済対策としてのエコポイント制は、経済対策とともに国民の自動車からのCO2削減、ハイブリッドカーに対するイメージを大きく変えました。電気自動車の普及を推進するため企業や区民に呼びかけるとともに、さらに区として区民に見える形で本庁舎前に電気自動車用の急速電気充電器を設置し、環境都市練馬区を大きくアピールしてはいかがでしょうか。御所見をお伺い致します。
また、今年は、記録的な猛暑が続き、気象庁の観測地点がある練馬区は、新聞やテレビでしばしば取り上げられました。ヒートアイランド現象には、練馬区の特徴でもあるみどりが効果的であります。街路樹による「みどりのトンネル」や区民や事業者に呼びかけての「みどりのカーテン」の普及など具体的な暑さ対策を進めていくべきではないでしょうか。御所見をお伺い致します。
松山市は、20年ほど前より、先進的都市環境を進めサステナブル都市として知られるドイツ・フライブルク市との間で友好都市提携をしております。松山市が進める環境と経済・産業を結びつける取り組みは、太陽エネルギーのビジネス創出で先行するフライブルク市を手本にしております。このように先行するサステナブル都市と連携することは、大変大きなインスピレーションが生まれます。そこで現在練馬区とアニメを通し連携しているフランス・アヌシー市と環境面においても連携を図ってはいかがでしょうか。アヌシー市は、「サヴォワの宝石」とたたえられるアヌシー湖の水質改善運動に過去30年間取り組み汚水が一切湖に入らないシステムをとっております。欧州自然保護賞、国連環境保護全欧州プログラムで金賞、またフランスの「全国花の咲く町コンクール」で最優秀賞を連続受賞しております。アヌシー市との環境面での連携を提案致しますが、御所見をお伺い致します。
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【答弁】
環境まちづくり事業本部長:
区では、民間機関などが実施する各種の調査について、調査の趣旨や目的などを考慮し、可能な範囲で協力しているところであります。サステナブル度調査につきましても、多くの自治体が調査に協力しており、区の取り組みを客観的に判断するとともに、今後への対応の方策に生かすことができればと考え、必要な回答をしたところであります。
今般の調査は、日本経済新聞社が独自に設定した分野、指標、配点などに基づく評価やランキングであります。その結果につきましては、必ずしも各自治体の実情を踏まえたものではなく、限られた視点からの評価ではありますが、前回の調査からポイントが下がった部分があったことにつきましては、真摯に受けとめております。今後、更に環境と経済が両立できる安定した社会の形成に取り組んでまいります。
次に、サステナブル効率指標についてであります。
この指標は、都市としての持続可能性が高く環境への負荷が少ない自治体が高い評価を得るものであります。練馬区は、今回の調査に参加した約640自治体の中で34位、東京23区中8位となっております。区が取り組む地球温暖化対策の成果と、良好な自然とみどりに恵まれた快適な住宅都市としての環境が、評価を得たものと考えております。いずれにいたしましても、今後も長期計画を着実に実施し、経済発展と環境保全が両立する持続可能な都市としての発展を目指したまちづくりに取り組んでまいります。
( 平成22年第3回定例会 )
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